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今回は、お説教をやめてみんなが聞きたくて聞けない・シリーズ第1弾として歴代チャンピオンの話でもしようか。本編に入る前に、先ず番外編からいきましょう。勘の良い人は気付いたかな?そう、内間監督の話。今回はぐぐっと画面に顔を近づけた人もいるのでは? 内間監督がレースを始めたのは私がレースを辞めて(辞める気じゃ無かったんだけどね・・これはいずれ書きます。)チームを立ち上げていた頃。(本当の)年齢は29歳にして彼はレースの世界に飛び込んできました。この年齢で生活の全てを変えて一から始めるって事は、犠牲にしたモノ・大阪に置いてきたモノも多かったはずです。 生まれて初めてフォーミュラーマシンに乗ったのはオーディション以外では、私の当時の会社で所有していたマシンです。それはそれは熱い走りで飛び出しまくってフレーム曲げられたのを忘れるわけがありません。いいえ忘れられません! そのとき思ったのは「こいつイかれてる」まさにCRAZY!! あの時の私にとってはとても貴重な、5台しか無かったマシンの中の活きのイイ1台を、ガンガンスピンしまくって無茶苦茶ながら乗りこなそうとする彼の姿はその後トラウマとなって脳裏に焼き付いたのでした。最近も夢に出てきて「誰かあいつを止めてくれ〜!」って叫んでいた。 さて、そのCRAZY内間青年は別のチームで本格的にレース活動を開始。最初の頃は彼だって初心者。一緒に走ってもちぎるのは訳も無かったのですが、そのうちメキメキとウデを付けてきてデビューレースとなりました。デビューレースはSUGO。そのころはすっかり私と意気投合し、生涯最後に出来た本当の友人となるやも知れません。デビューレースはスピンし追い上げては、ミスをしてというドタバタレースでしたが速さは持っていて6位入賞。 ここからが本題なのですが、この6位をあなた方に置き換えてはいけません。なぜなら彼のチームにはアライメントさえ満足にとれる人が居なかったのです。大袈裟ではなく、レーシングチームなのにまともにアライメントさえとれないチームだったのです。デビューレース以前から内間監督は問題に気付き、独学でマシンの整備を学び出しました。しかし、マシンのセッティング等経験がいることなので、まずは人に聞いたり、本を読んだりして知識を付けながら、自分で試行錯誤して急速に学んで行きました。 デビューの年は戦闘力の劣る車を使っていたのですが、スタビを自作したり、エキゾーストマニホールドを自作したりして与えられたマシンを少しでも良くしようと悪戦苦闘していました。その出来はコンストラクターさんが「良く作ったね」という位丁寧に作られていました。今思えば、コンストラクターさん達が見れば不出来だったかも知れませんが、何の工作機械も無く手作りで作ったことも分かっていたでしょうからお咎め無しどころか、「頑張ってるね」といった感じでした。そのマシン自体の不出来なところは皆が知るところだったのですが、そのマシンのユーザーのなかでは常に最上位をKEEPしていました。翌年、前年に苦労しながらも健闘していたことから彼はFJでは画期的な、その登場によって大きくFJの形を変えたオスカーSK-91のシートを手にしました。そのころには自分を実験台にセッティングを試し、セッティングのノウハウも蓄積して行き1993年のシリーズに参戦となりました。 文章にすればこのようにたった2行程度の事ですが、何の助言も無く、指導も無く、手探りでマシン作りとドライビングの両方を極めていった、彼の努力はどれほど大変な事だったか・・・。このころには「同じレースに俺がいなくてよかったな」等とは、冗談でも言えない程、自分を追い込んだCRAZY内間青年がいました。こうなると彼を知る周りの人間が動かない訳がない。ある意味完璧な、しかもとことんまで努力をしている人を放っておけますか? 1993年筑波FJ選手権シリーズ、違う意味でCRAZYさを増したレーシングドライバー内間淳は、予選前夜でも深夜まで自分でマシンを整備して、ドライビングと同時にセッティングの事まで考えてレースに参戦していました。私はせめてと思いなけなしの金をはたいて、タイヤを何セットかスポンサーしたのですが、その年から変更になったコントロールタイヤはそれ以前のモノと比べて溝が深いから(当時はスリックでは無く溝付きのワンメイク)もしかしてと、ある時新品のタイヤをホイールバランサーで回しながらヤスリ(荒研ぎのカッターみたいなモノ)で削りだしたのは、第2のトラウマとなっています。結果的にタイヤ削って良い訳が無かったのですが・・・。「俺のスポンサーをなんだと思ってるんだ!余った金じゃ無いんだぞ!」と腹の中では思いつつも、何事もチャレンジの彼に奇跡を期待しました。(俺も馬鹿だね) まだまだ内間監督CRAZY列伝は続くので前編・後編に分けます。 (←前のページへ戻る) |
□■ 笹川健志 □■
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