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FJ1600もてぎシリーズも折り返し点となる第三戦、今回は開幕戦と同じフルコースで開催される。前戦でようやくもてぎシリーズ初表彰台に立つことが出来たが、シリーズポイントを考えると前回の流れをうまくつなげてそろそろ結果を出したい所である。 7/2 レース前日 練習日 通常レースウィークは金曜土曜が練習日に充てられるのだが、今回は土曜日、それも走行枠が二本のみ。わずか30分 x 2本の走行でドライバー/マシンとも仕上げなければならないので焦りを感じながらの練習走行となったものの、チームOBの方が土曜日からサーキットに来てくれておりアドバイスしてもらえるのはありがたい。 一本目の走行では、前回のレース以来となるレースドライブの感覚を取り戻しながら、セッティングのためにマシンの挙動を感じ取ることに集中する。 一本目の走行が終わってラップタイムをチェックすると、僅差ながらトップタイム。OBの1999年FJ1600もてぎシリーズチャンピオンの遠田さんからマシンの動かし方とライン取りについてアドバイスをもらう。特にセッティングは変更せず2本目の走行へ。1本目でわずかに感じたリアのグリップ不足が大きくなっていてタイムのほうも他車と比べて良く無い、、、が、これで走行は終了。走行終了後に若干セットを変更したものの、結構不安でいっぱい。遠田さんからもさらに色々とアドバイスをもらったので明日の予選で生かせるように頭に叩き込む。 ちなみに今回は思いっきり梅雨の最中のレースだが、2本目の練習走行が終わったところでとうとう夕立のような激しい雨が降ってきた。明日のコースコンディションは果たしてどうなるのか??天気予報では曇りだがサーキットというのは大抵山奥にある。山の天気は変わりやすい、っていうのは本当で天気予報はあまり信用できないのだ。 7/3 レース当日 予選 木賃宿で朝目覚めるとまず窓を開けて空の様子を確かめる。心配していた雨は降っていないが気温がかなり低く肌寒いくらい。今回はVitz、VW Racing、Golf GTI、F4、FJ1600、シビック、マーチレースの順番で開催される。エントラントも多くサーキットは大賑わいだ。これだけ人が集まっているところで勝ったら気持ちいいだろうなあ〜と根拠の無い妄想をしながら予選の準備を行う。 今回予選のコースインの先陣争いは激しく、渋滞している首都高の合流並だった。ピット位置の悪かった私はスリップストリームを頂こうと密かに狙っていた選手の後ろに入れず、戦略も何も無いようなポジションでコースインすることになった。まあ、こうなると逆に余計なことは考えずひたすらアタックするしかない。マシンのバランスもちょうど良いのでどんどんペースをあげていく事数周、前方のスリップを使えそうな位置にマシン何台かが迫ってきた。よーし、そろそろスリップも効いてくるかな、と思っていたところ、スリップの名手、栗原宗之選手が前方の集団からはなれて私の後ろに付けた、、、うーん流石、だが仕方あるまい、そのままアタック続行だ。その周のアタックは前車に詰まって失敗してしまったが、前車を抜きそのまま2台でアタックを続ける。スリップは使えないものの自分のペースも悪くない。後ろは気になるもののそのまま必死にアタックするうち、なんと8周目の最終コーナーの立ち上がりで右フロントタイヤが勝手に右を向いたり左を向いたりしている、、、タイロッド(ハンドルとタイヤをつなぐパイプ)折れだ!あぶなく壁にぶつかりそうになったが何とかたてなおし芝生にマシンを止めて電光掲示板を見ると2番手。他車はもう2-3周走れたようだがタイムを更新されることは無く2番手のまま時間終了。2番手ではあるがスリップ無しでポールと0.2秒差なのでそんなにやばいわけじゃない。焦ることはないさ、、、 決勝 第2戦予選2位、決勝2位、今回の予選2位、という感じで2番手ポジションが続いてきている。いいかげん2位はもう沢山、今回も2位だったらずっと2位が続きそうですらあり、ほしいものは一等賞だ。 さて、さすが梅雨の真っ最中、午後になって時折小雨がぱらついてきて、メカニックの方はレインタイヤの準備をはじめている。コースイン開始時刻になっても少し雨がぱらついていたが結局ドライタイヤのままコースインした。 グリーンフラッグが振られフォーメーションラップスタート。しばらくタイヤを暖める事に没頭してから、ふと後ろを見ると後ろのマシンとの間隔がストレート一本分以上あいてしまった。当然早くグリッドについてから後続のマシンが整列するまで待っている間にもタイヤは冷えるので、こんなところも駆け引きである。なんとか間隔を調整してフォーメーションラップを終える。 さあ、シグナルに集中、、、レッド点灯から消灯でレーススタート!動き出しはうまくいったのだが、2速へのシフトアップで失敗、失速してしまった。あわててダブルクラッチを切って2速にいれなおす。やばい、これは1コーナーまでに何台か抜かれるかな、と思ったのだがなんとか2位のまま1コーナーを通過。ここから非常に激しいバトルがゴールまで続くことになる。 前をいくは栗原選手、スタートの出遅れはわずかだったようで5コーナーまでに追いつき、一周目90度コーナーでインに飛び込みオーバーテイク。ミラーで後ろを確認すると丸木選手が3位に上がっているようでZAP勢1-2-3でコントロールラインを通過。この3台がもつれ合いながらすきあらばインをさす、という勢いで周回を重ねていく。おまけにツインリンクもてぎは1コーナー、3コーナー、5コーナー、ヘアピン、90度コーナーと抜きどころが多い。ミラーで2位3位がバトルしているのが見え「いいぞ、もっとやりあってくれー」と思っているのだが、私も無関係でいられるはずも無く一周に一回はインに飛び込まれブレーキング競争になる。 他車に前に出られてもほんの1、2コーナーだけ、という状況で、トップの位置を保ちつづけて5周目だろうか、1コーナーで車を回しこんでいる最中、後ろから「ゴン!」という衝撃が、、、追突されたようだ。私は大きく姿勢を乱す事も無くそのままコーナーを通過できたが、ミラーにはダートに飛び出す丸木選手の姿が。接触でマシンが壊れてないか気になるところだがレース最中である、多少の故障などかまわずアクセルを踏みつづけるしかない! さらに次の周、栗原選手にとうとうラップリーダーの座を譲ってしまう。2位で走行してみるとトップとバトルはしなきゃいけないし、後ろからはいたるところで仕掛けてくるしで、今回のようにダンゴ状態のレースでは集団の真中は大変だ。2周後のS字コーナーでなんとかトップを奪い返したが、また次の周に再度栗原選手にオーバーテイクされる。3位にあがった藤原選手もさらにプレッシャーをまして迫ってくる。 息もつかせぬ展開のまま、栗原選手、私、藤原選手の順番でファイナルラップに突入。ここで私は妙に自分を落ち着かせることが出来た。何周か栗原選手の走りを後ろから見ていて「イケてるところ」「イケてないところ」がなんとなくわかる。自分のコントロールできる100%ぎりぎりで勝負すれば抜ける、と自分に言い聞かせる。と、3コーナー立ち上がりでわずかに栗原選手の加速が鈍く予想外に車間が詰まってきた。予定とは違うが、どうする?ここで抜くと90度コーナーでさし返されないか?一瞬逡巡した次の瞬間、栗原選手のインをさしていた。オーバーテイクは成功し、あとは必死に逃げるのみ。S字、V字、ヘアピンをクリアーしてバックミラーを確認すると2位との間隔は開いている。よし!そのままバックストレート、90度、最終コーナーを抜け、トップでチェッカーを受けた、、、もてぎシリーズ初優勝である! FJ1600で初めてこの世界に飛び込んだ私は、当然ながらそれまでのレース経験はゼロ。昨年のFJ1600日本一決定戦で自分のバトル経験の無さ、それに起因するレース運びの下手さを痛感し、それを克服するためにも今年はもてぎシリーズにチャレンジしたのである。それだけに今回の非常に緊迫したバトル(それもレースの最初から最後までずっと)を制することができて、ものすごく嬉しい。毎戦毎戦マシンの完成度を高め、また参戦体勢を整えてくれるチームスタッフの方々、応援して頂いている皆さん、本当にどうもありがとうございました。ますます混迷を極めるシリーズタイトルも、今回の勢いを維持したままがんばっていきたいと思います。 (←前のページへ戻る) |
■ 熊谷徹 □■ |
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