ZAP SPEED RACING TEAM





VOL.51:スターティンググリッド

スターティンググリットドに着いた時にはレースの8割は終わっている。

『これからレースが始まるというのに何を言ってるんですか??』

まあ、そう思うのも無理は無い。
でも、8割ってのが適当な数字かどうかは別として、半分以上は終わっているんですよ。

スターティンググリッドにマシンを並べる時には当然予選の順位で指定の場所が決められている=指定席なんです。
そして、この指定席で良い場所を得るには、予選でのアタックが決まらなくてはなりません。予選のアタックを決めるには車のコントロール能力は勿論必要ですが、これは予選以前に日頃の練習走行によって磨いておかなければなりません。
そして、予選で良いタイムを出そうとすればタイヤの“美味しい時”を使わなくてはなりません。SFJでは予選時間中に5〜7周程チャンスがあると思いますが、F-4のタイヤは柔らかくたった2〜3周しかチャンスがありません。季節によっては1周かな?現在のF-4のタイヤはF-3のタイヤよりもタイムの狙えるライフが短いです。
タイヤのおいしい所を使おうと思えばその一瞬に全てのコンディションを良い状態にしておかなければなりません。ブレーキローターに熱を入れておいたり、ブレーキバランスを調整しておいたり。これから来るアタックの1ラップに照準を合わせて準備して行くのです。

さて、その様に予選の1ラップにマシンのコンディションを整えて行っても、金曜日の走行などからセッティングの方向を見いだしておかないと前回レースと気温や湿度が違えば同じようには動いてくれません。まあ、コンディションが違えば全く同じを目指しても仕方なく、むしろ現在のコンディションに合わせた今回のセッティングを求めて行くという事になります。

このセッティングを煮詰めていくという作業はいろいろと経験が要り、先ずは車の動きがキチンと把握できなければお話になりません。これは結果としての動きだけでは無く、タイヤの撚れや潰れもや僅かなズレも感じ取れなくてはいけません。
これも、レースの前日になってガタガタ言い出しても始まらない事で、日頃のテスト(練習走行)等で感覚を養っておかなければなりません。

感じるだけでは駄目です。感じたことを正確にエンジニアに伝えられなくては車は良くなっていきません。このコミニュケーション能力も日頃から磨いておかなければなりませんし、自分の担当のエンジニアとの意思疎通も大切な要素になります。
仮に「ちょっとオーバー」と表現したとして「ちょっと」のさじ加減が人によって違う訳で、その微妙な意思疎通が出来ているかどうかが鍵になってくるのです。

そしてそして、エンジニアとの意志疎通OK、セッティングOK、マシンの準備OK、クリアラップOK(コース上に邪魔になる車が居ない)としても、さらに事前に必要なことはあります。

肝心な自分自身が準備できているのか?ということです。
日頃から培ったマシンコントロール能力があったとしても、本番でそのパフォーマンスを100%発揮できなければ意味がありません。
体のウォーミングアップは出来ているかという事も大切な要素です。

たとえばどんな大投手でもいきなり自分の最速の球は投げられませんし、そんなことをすれば怪我をするのでウォーミングアップ無しに全力投球なんてする訳もありません。十分なウォーミングアップがあって初めて全力投球が出来るのです。
レーシングドライバーとて同じ事、十分に体を温めて自分のパフォーマンスを最大限発揮できるようにする準備が必要なのです。

だからドライバーにとってスターティンググリッドへ向かう直前は非常に忙しい時間でもあります。スポンサーさんや当日応援に来て頂いた後援者へ挨拶もあるし(レース時間に合わせていらっしゃる方が多い)、レースオーガナイザーによるドライバーブリーフィング(主催者による参加者への注意説明)もあるし、ウォーミングアップもしなくてはならない。エンジニアとの作戦の確認や、グリッド上でメカニックに確認して欲しい事の打ち合わせ。前座のレースなどでコース上にオイルや砂利が出ている等最新のコースの情報。グリッドでの紹介アナウンスがあれば手を振って観客の皆さんや応援の皆さんに応えなくてはならないし、カメラにだって囲まれます。

さあ、そしていよいよフォーメーションラップのスタート。
フォーメーションラップにもやることはいっぱい。
シグナルが点灯するのは更に先の事だ。

どうです?
スターティンググリッドに車を並べるまでに8割レースが終わっているでしょう?




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□■ 笹川健志 □■
マネージメントディレクター。チーム運営に手腕を振るう。自分がレースするはずだったのが、いつの間にかレースを目指す若い連中の面倒を見る事に…。内間監督と供に「一蓮托生」理想のチーム創りを目指します。 理想のチーム作りと言うのは皆さんの理想をかなえること。「自分達の時代にもあったら良かったのに!」っていうチームを創る事。 チームが徐々に理想に近づいてゆくのが生き甲斐です。







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