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VOL.7:今年のFJ用バージョン3タイヤについて

Ver3タイヤは昨年後半に筑波では山崎がテストをしました。その時にダンロップさんから持ちこまれたタイヤと今年実際に供給して頂いているタイヤとは少し違うように思いますが?! 結論から言いますと、非常に完成度の高いタイヤだと思います。

その時お聞きした開発のポイントは
1.路面温度が低い時でもグリップ発生が早くコントロールしやすい
2.最大グリップ力よりも安定したグリップ力の持続

まさに今年のタイヤはそのあたりが改善されているのか? それが予選のタイム差に現れて筑波ではポールから最後尾までが1秒以内という厳しさです。去年までもタイム差という点では大差ないように思うかもしれませんが私が感じているのは特に予選上位の選手のタイム差が無いということです第4戦などは59.2・・というタイムになんと8人!たしかに今年のタイヤは性能としては安定しており、タイヤ単体で考えると非常に良いタイヤなのかもしれません。ですが私自信が感じている率直な感想は、
  
上手い人と下手な人の差が出ない

去年までのようにドライバー自信がマシンの向きを変えようとしなくても早くにリアがブレイクして、勝手に向きが変わってしまう。ゆえに向きが変えれないドライバーも速く走れてしまう。ドライバーが頑張ってもそれがタイムアップに繋がりにくい。少し押さえるような走りをするほうがタイムアップする。(結局ドライバーがマシン、グリップの限界を掴めていないとも言えるが)今までのようにドライバーがしっかり荷重をコントロールしてドライバー自身が向きを変えていくような車にはセッティングにより可能だが、フィーリングとタイムが一致しない(ウチがまだセッティングを掴んでいないのか?)
  
サイドウオールの剛性が下がり、コンパウンドが堅くなったのか? 反対に剛性が上がり、コンパウンドが柔らかくなったのか?
まあこんな単純なことではないと思うけど、どちらにしても納得できるセットが見つからず、今はドライビング方法まで含めたタイムアップを目指しています。
ドライバーには急な荷重変化を出きるだけ起させないようなドライビングを心がけて貰っていますが、これらの状況、及び理由から私の個人的な考えでは、今年のタイヤはタイヤとしての完成度は高いが昨今育成カテゴリーでも話題に上がるラジアルタイヤの特性を生かした、走りの勉強にはならないと思っています。

開発目的の一つにあったグリップの発生を早くするというのは、冬場などタイヤ温度が上がりにくい時、特に鈴鹿などで初心者が走行1、2週目での飛び出し、クラッシュが多いために出された要望だと聞いていますが、 その為にドライバーがコントロールすることを楽にしてしまうような特性にはハッキリいいますと反対です。(言いかえればコントローラブルな良いタイヤなのですが)

常日ごろ、ドライバーにはどのような条件下でもその時に使えるグリップの最大値で走るように努力しなさい、タイヤ温度を人より早く適正値に上げることに繋がるしレース1、2周目のアドバンテージにもなる、ニュータイヤの一番美味しい時にタイムを出せることにも繋がるし、雨でも速く走れるようになると教えています。
F3などで使われているタイヤはドライバーがしっかり荷重コントロールしないとアンダーが強くなり速く走れないみたいですし、それをセッティングで曲がる車にしてしまうとタイムが出なくなるようです。

中間カテゴリーのFTはバイアスタイヤで、特性的に現在の主流であるラジアルとの違いがF3にステップアップした時に戸惑いとなっているように思います。その点FDというのはF3用タイヤをそのまま使用している為、本来F3のダウンフォースが有ってタイヤの性能が引き出されるようになっているため、ドライバーがしっかりとフロントを押さえて、ターンインしないとアンダーが強く、当然横のグリップの使い方はそのままF3と同じまたそれ以上にダウンフォースが無い分シビアであるためFDからF3にステップアップしたドライバーがFTからステップアップしたドライバーにくらべてより適応しやすいのではないでしょうか?

もちろん今年のFJタイヤでも最後のコンマ数秒を速くはしらせるのは難しいのですが、そこそこのタイムが簡単に出てしまうのでタイム差がつきにくくなっているように思います。トップから0.2〜3秒しか変わらないからって勘違いしてしまうドライバーがでてきてもおかしくはないですね! トップグループを走っている選手のなかにも、車任せでマシンが脱出ラインに乗るまでただひたすらアクセルオンを待つだけっていう人もいますから!
これって私が始めたばかりの初心者にブレーキングはどうでもいいからまずは脱出の重要性を教えるって時に使う方法で、コースと車になれてきたら誰でも出来るんじゃないかな!?
 これで他のサーキットを走っても速く走れるはずは無いとおもうけど! 今年の筑波シリーズで私が注目しているのはエクシードの○○選手!誉めているから実名でも大丈夫でしょうか?昨年からスピードのセンス、コントロールは一歩他の選手よりぬきんでていました。前半戦は荒さや焦りが目立ちましたが、最近では狙った周にタイムを出せるようで、セットの変更なども非常に判断が早いようです。マシンの向きの変え方も今年のタイヤ特性を的確に把握してタイムがでる走りのイメージをしっかり持っているからでしょうネ!悲しいかなウチのドライバーで最近上手く乗れているドライバーが居ないので練習中の皆さんもレースを見にきた時はこの選手のライン、走らせ方に注目してみてください!

最後にタイヤを供給して頂いているダンロップ様、安全面を考えたりメーカーとしての考え方も有るでしょうし、他の方からも色々な意見はあると思いますが、コントロールタイヤなのでもっとラジアル特性を強くしたタイヤで良いんじゃないでしょうか?
タイムを出すのが難しいほどFJタイヤとしては向いていると思います。またスリックでも昔の市販ラジアルタイヤ程度のタイムが出れば充分なのでタイムは出なくてもいいからライフをもっと伸ばせないでしょうか?ドライタイヤもそうですが、今年のレインタイヤなどはコンパウンドが柔らかすぎて練習で使うとすぐに減ってしまい、レース用にもう1セット用意しなくてはならないような状況です。

最近では供給面でも同じロッドナンバーをそろえていただくなどの努力をして頂いているようで非常に感謝しておりますし、これは私の個人的な考え、及びお願いです。
決してタイヤの性能が悪いと言っているわけでは有りませんので!

まあこれをダンロップさんが見ておられるとは思いませんが(笑)



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□■ 内間淳 □■
チーム監督を務める。「プロフェショナルレーシングドライバーを目指して」をテーマにメンタル・フィジカル・テクニックなどあらゆる面での私の知識や考え、また感じたことなど雑談も交えてお話して行きたいと思います。他のスポーツ選手や現在走っているチーム員、また先輩方の走りを実例に挙げた辛口、独断トークありのコラムでチーム員は何時も聞かされている事柄も多いと思いますが是からドライバーを目指す人にも出来るだけ解りやすいように基本的なことから少しづつ書いていきましょう。







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